展示された火坂さんの著書などを眺める久保さん

展示された火坂さんの著書などを眺める久保さん

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火坂雅志さんと上田・真田氏の縁 上田のホテルで寄贈書など展示

信濃毎日新聞(2016年1月28日)

 上田市大手の上田温泉ホテル祥園が今月から、地元ゆかりの戦国大名・真田一族の盛衰を描いた歴史小説「真田三代」などで知られ、昨年2月に58歳で亡くなった作家火坂雅志さんが参考にした資料や生前の写真など40点余をロビーに展示し始めた。おかみ久保美奈子さん(64)が火坂さんと交流があった縁で、妻洋子さんから贈られた火坂さんの著書も含む。仕事ぶりを紹介するとともに故人をしのんでいる。

 火坂さんは2009年7月〜10年12月、真田氏を通じて「地方の誇り」を描いた「真田三代」を信濃毎日新聞朝刊に534回連載。これを一つのきっかけに、上田市では真田氏を題材としたNHK大河ドラマ実現を目指す市民らの運動が盛り上がり、「真田丸」の放送につながった。火坂さんは取材や講演で市内や近隣地域をたびたび訪れ、久保さんと交流を深めた。

 「真田三代」の文庫版をはじめとする著書のほか、参考資料として使っていた忍者や修験道、陰陽道(おんみょうどう)に関する蔵書などを展示。久保さんが野菜を送った際に火坂さんから届いたお礼の手紙のコピーには「『真田三代』最後まで精魂こめて書き上げます」とあり、執筆時の思いを垣間見ることができる。

 久保さんは、ともに忍者が好きだったことから火坂さんと意気投合。久保さんが市内に忍者の魅力を伝える施設を造りたい―と話すと、火坂さんは応援する姿勢を示した。施設は候補地を探しておりまだ実現していないが、火坂さんが施設名として揮毫(きごう)した「真田三代忍び小屋」の色紙は額に入れて飾った。

 「火坂先生も地元の方と同じように上田や真田氏が好きだった」と振り返る久保さん。「現地で調べたり資料を集めたりして物語を書いていた先生の仕事の裏側を感じてほしい」と話している。展示は常設で自由に見ることができる。問い合わせは上田温泉ホテル祥園(電話0268・22・2353)へ。

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