諏訪大社御柱祭の下社山出し最終日の10日は、氏子と観客を合わせ18万1千人が諏訪郡下諏訪町の「木落(おと)し坂」を訪れ、一帯は人でごった返した。「春宮二」「秋宮三」「秋宮一」の3本全ての木落としを見て満足した人がいる一方、最後の「秋宮一」の木落としを見ずに会場を後にした遠方からの客もいた。
最初の「春宮二」の木落としが近づくにつれて観覧席が埋まっていった。観客は、観覧席や木落し坂下の規制線そばでカメラを手に見守り、柱が落ちると大きな歓声を上げた。
一部の観客が帰り支度を始めたのは、「秋宮三」の木落としが終わった午後2時20分ごろ。家族3人で来た都内の会社員市川裕庸(ひろつね)さん(44)は「明日から仕事や学校があるので最後まで見られないが、とても迫力があって来たかいがあった」と満足そうに話した。
御柱8本の最後で最も太い「秋宮一」の木落としが始まるまでの間、観覧席はさらに人がまばらに。都内の60代の夫婦は「最後まで見るつもりだったが、柱が落ちるのが予定よりだいぶ遅くなりそう。待っているだけでも疲れるので帰る」と話し、帰路に就いた。
午後6時ごろ、「秋宮一」が土煙を上げて木落し坂を下ると、日程終了を伝えるアナウンスが流れた。3本全ての木落としを見た浜松市の会社員田中敬嗣(けいじ)さん(58)は「生で見る木落としは勢いがあってすごかった。里曳(び)きも見に来ようと思う」と話していた。