上諏訪温泉「しんゆ」での研修でフロント業務に当たるザギドゥリナさん(左)とクズネツォヴァさん

上諏訪温泉「しんゆ」での研修でフロント業務に当たるザギドゥリナさん(左)とクズネツォヴァさん

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大好きな日本で接客のプロに 諏訪の温泉で働くロシア女性2人

信濃毎日新聞(2018年3月6日)

 諏訪市と茅野市で温泉旅館を経営する親湯温泉(茅野市)の社員でロシア出身のディナ・ザギドゥリナさん(24)とユーリヤ・クズネツォヴァさん(24)が、同社の上諏訪温泉「しんゆ」(諏訪市)で接客の研修を続けている。ともに幼少期からアニメを通じて日本への関心を高め、日本に留学。日本人ともっと話がしたい―と異国で働く道を選んだ。研修は2017年12月中旬から取り組んでおり、「サービスのプロを目指したい」との目標を掲げている。

 2人は外国人職員の採用に力を入れる同社がロシアで行った採用試験を受け、17年7月に採用されて入社した。

 ザギドゥリナさんは、「ポケモン」などのアニメや「花より男子」などのドラマを通じて日本を知ったという。日本の音楽にも興味を持っており、当時の自分を「インターネットで日本のアニメやドラマをあさっていた。『日本おたく』でした」と振り返る。

 カザン連邦大在学中の12年と13年に都内の日本語学校で学び、13年10月からは埼玉大(さいたま市)に留学した。滞在中に感じたのは生活のしやすさ。首都圏は電車網が充実しており、時間通りに運行することに感動したという。日本人については「人に迷惑を掛けないように生活しているところが素晴らしい」。日本で働こうと考えた時、親湯温泉がモスクワで採用活動をすることを知って応募した。

 ロシアの冬は寒いが、諏訪の冬も負けてはいない。同市のマンションに初めて入った時の室温は3度で、「こんな寒い所でどうやって生活すればいいのかと感じた」と笑う。「先輩たちを見習い、プロの仕事ができるようになりたい」と抱負を話す。

 クズネツォヴァさんも、幼い頃から日本のテレビアニメを見て育った。「発音に強い音がない」日本語の美しさに引かれ、日本のアニメを翻訳なしで見たいと思うようになった。15歳の頃、自宅でインターネットを使えるようになり、日本について調べては理解を深めていったという。

 ノボシビルスク工科大と同大大学院で日本語を学び、通訳を目指したものの、まずは日本で自分の力を試そうと、札幌市のホテルでインターンシップ(就業体験)をした。人手が足りないと上司も皿洗いをする姿が印象に残ったとし、「ロシアではあり得ない光景に感動した」と言う。

 札幌での経験から、外国人客が多く、通訳や接客など幅広い仕事ができるホテル業界での就職を希望し、親湯温泉の求人に応募した。「ホテルの仕事が面白いという思いは変わらない。もっと自分を進化させ、ホテルに関わるさまざまな仕事をこなせるようになりたい」と話している。

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