朝倉長光の写しの制作について語る森國さん=1月17日、福井県福井市の県立一乗谷朝倉氏遺跡資料館

朝倉長光の写しの制作について語る森國さん=1月17日、福井県福井市の県立一乗谷朝倉氏遺跡資料館

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宝刀復元「重圧だった」 企画展合わせ刀匠が講演 福井

福井新聞(2021年1月18日)

 戦国大名朝倉氏の宝刀「朝倉長光」の写しを制作した刀匠・森國清廣さん(福井県福井市)によるトークイベントが1月17日、福井県福井市の県立一乗谷朝倉氏遺跡資料館であった。形状や刃文が写された絵図からの復元に「国宝を残した名工の作品。大きなプレッシャーだったが、精いっぱいの技術を注いだ」と振り返った。

 朝倉長光は、鎌倉時代後期に備前国(岡山県)を拠点とした長船派の刀工で、国宝や重要文化財を数多く残した長光の作。刃長約53センチの小太刀で朝倉氏が所有し、その後豊臣秀吉の手に渡るも行方知れずとなった。近年、刀全体を写した絵図が確認された。

 復元は、2022年に開館予定の新博物館の常設展示品として企画。越前町に工房を構える森國さんに制作を依頼し、構想から3年掛け19年に完成した。

 森國さんは「長光の作品でも時代ごとに大きく作風が異なり、どの時代のものか判断する必要があった」と説明。資料や残存する刀から、長光の初期から中期ごろの作品と推定した。

 地金や刃文など名刀ならではの風合いやミリ単位での刀のそりの再現など、制作は苦労を極めたという。「朝倉長光の存在は朝倉氏の力を象徴するもの。実際に見て、当時の栄華に思いをはせてもらえれば」と話した。

 トークイベントは、朝倉長光などを展示した同資料館企画展の関連行事として開かれ、歴史愛好家ら約30人が参加した。企画展は2月16日まで。

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