4年に1度行われる国指定重要無形民俗文化財「睦月(むつき)神事」が15日に奉納されるのを前に11日、福井市大森町の睦月神事会館の収納庫で男衆が餅をつき、芸事やお供え用の120キロ分を用意した。本番に向けた準備がほぼ整った。
神事は約800年前から同市加茂町の賀茂神社に伝わるとされる。天下泰平(たいへい)や五穀豊穣(ほうじょう)を願い、幼児からお年寄りまで地域住民が一体となって舞などを奉納する。
この日は地元の男性約60人が集まった。地元産の餅米をせいろで蒸し、三つの臼を使って交代しながらついた。3時間以上にわたり、ぺったんぺったんと小気味良い音が庫内に響いた。こねる人の手は、餅が熱々で真っ赤に染まっていた。
大森町と加茂町にある4カ所の神社に供える鏡餅や、訪れた人に配る紅白の丸餅600個をつきあげた。大きな餅2個(計約12キロ)は、豊作を祈って子ども2人が演じる「種蒔(ま)き」の舞台に据える。
大森町の片岡とほるさん(75)は「艶の良い餅ができた。芸事の練習を続け、本番に備えたい」と笑顔で話していた。