北陸新幹線の開業まであと2日となった12日、県内3駅や観光地、物産店、宿泊施設では準備が大詰めを迎えた。「最高のおもてなしを」「富山の味覚をアピールしたい」。真冬に逆戻りしたかのような寒さの中、最終チェックに追われる関係者の鼻息は荒い。いよいよ訪れる富山新時代へ、一気にラストスパートをかける。
南砺市平地域の世界文化遺産・相倉合掌造り集落にはこの日、北陸新幹線の新型車両をかたどった巨大な雪像がお目見えした。全長約30メートル、高さ約2・5メートルとほぼ実物大。「ビッグ」なおもてなしをしようと、同集落保存財団(図書健裕代表理事)が企画し、職員や住民が前日に作業を始めた。スノーダンプやスコップで美しい流線形を再現し、約20人分の客席も用意。かまくらのように中に入れるようにした。
開業日の14日から16日までは観光客に温かいコーヒーを振る舞い、夜には開業記念ライトアップを行う。財団の辻清市郎事務局長は「北陸新幹線で訪れたお客さんと一緒に開業をお祝いし、古里の原風景ともいえる景色を楽しんでもらいたい」と話す。
富山市新富町のCiC5階の「いきいきKAN」は、新幹線の関連商品約30種類を集めた特設コーナーをつくった。パッケージに新型車両のデザインをあしらったシロエビせんべいや地酒は早くも人気だ。運営する富山県いきいき物産の坂田智尚総務企画部長は「富山土産の品ぞろえには自信がある。富山駅にできた新たな商業施設との相乗効果で、駅前を周遊する観光客を増やしたい」と期待する。
14、15の両日はCiC1階で「食と地酒フェア」を開き、新幹線利用客に富山の味覚の魅力を発信する。
開業日に東京富山県人会から約100人の宿泊者を迎える朝日町湯ノ瀬の小川温泉元湯ホテルおがわは、接客マナーの再点検に努めている。小渕博之副支配人は「心のこもったもてなしで、くつろぎの時間を味わっていただきたい」と語る。
高岡市ホテル旅館組合は開業に合わせ、新高岡駅で降車した宿泊客が手ぶらで市内観光を楽しめるよう駅で荷物を預かってホテルまで運ぶ新サービスを始める。宇波真一郎理事長は「サービスを周知し、高岡を訪れる観光客が増えるようにしたい」と意気込んでいる。