人気時代小説「鬼平犯科帳」の主人公のモデルとなった長谷川平蔵が生きた「江戸時代の食」展が、小浜市食文化館で開かれている。小説や漫画に登場する豆腐や卵、そば、うなぎ料理など約100点の食品サンプルが並ぶ。初物を大事にした"粋"な江戸っ子の食生活に触れることができる。
火付盗賊改方長官(ひつけとうぞくあらためかたちょうかん)だった平蔵が生きた1745~95年に光を当てた。齋藤光子学芸員によると、この時代は大火事が頻発し、多くの男性が作業のため江戸に流入。手軽に食べることができる屋台や飲食店が生まれ、「現代の外食文化の先駆け」という。
豆腐や卵料理など4種類の食品サンプルには、作家池波正太郎の小説や漫画の記述を添えている。「江戸っ子は初物を競うように食べていた」(齋藤学芸員)といわれ、カツオの刺し身や若竹煮などのサンプルを見ることができる。江戸前(東京湾)で採れたシジミやアサリ、ハマグリなどの料理のほか、江戸期のご飯ものとして、きび飯やタイ飯、茶がゆなど20種類を展示している。
江戸中期に記された若狭の地誌「稚狭考(わかさこう)」を基に、小浜の食文化も再現。人口1万人を超える繁栄していた港町を裏付けるように、マツタケ飯などが並ぶ。
齋藤学芸員は「小説では有名だが、実在した人物。生きた時代の食を多くの人に見てほしい」と話している。
展示は、来年3月22日まで。水曜と年末年始、6月23~26日は休館(4月29、5月6日は開館)。午前9時~午後6時。