伝統的な町家の吹き抜け空間を利用してカフェを開く早川さん=高岡市金屋本町

伝統的な町家の吹き抜け空間を利用してカフェを開く早川さん=高岡市金屋本町

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鋳物の町の空き家にカフェや店舗 高岡・金屋町

北日本新聞(2015年5月5日)

 高岡鋳物発祥の地・高岡市金屋町地区で、空き家への入居が相次いでいる。これまでにカフェ経営に挑戦する若い夫婦や、高岡銅器・茶釜の専門店、県外の美大を卒業し高岡で就職した若者の入居が決まった。北陸新幹線開業や高岡の日本遺産認定で観光客の増加が見込まれる中、新たな人材や店舗の入居で町の魅力がパワーアップしそうだ。

 金屋町では人口減少を止めようと、一昨年に「金屋町元気プロジェクト」(加藤昌宏委員長)を発足させ、定住促進に取り組んでいる。町には貸し出し可能な空き家が約20軒あることから、ホームページなどで情報発信している。

 金屋本町の伝統的な町家でカフェ開店を計画するのは、富山市から家族4人で移住した早川亜由美さん(31)。「雰囲気のよい物件」を探し、プロジェクトメンバーの不動産業者の仲介で、高い吹き抜けがあるこの家に決めた。

 日本料理店に勤めた経験を生かし、和の要素を取り入れたカフェとし、1日10~15食限定でランチも提供。食器には高岡の鋳物や漆器も用いる。年内開店の予定で「おいしい甘味やランチを提供し、町を散策した後に一息つける場所にしたい」と早川さん。夫は料理人で、将来的には日本料理店を開きたいという。

 金屋町の石畳通りの空き家では10月、高岡銅器と茶釜の店がオープンする。店主は、同じ通りで鉄瓶・茶釜店「鐵瓶屋」を展開する高岡銅器(高岡市美幸町)の竹中靖治常務(45)。「金屋町は個人の旅行客にゆっくり良いものを見てもらう場に適している」と言い、銅器は地元の伝統工芸士の作品を中心に並べる。

 金沢美大を卒業し、今春に市内の鋳物会社に就職した林舞さん(23)は、3月末から金屋町で家を借りて住み始めた。町にある若手金工作家の拠点「金属工芸工房かんか」には何度も訪れたことがあり、「知り合いがいるので安心できる。部屋数が多い家の雰囲気も気に入っている」と言う。

 趣ある町家や鋳物づくりの伝統にひかれる人は多く、プロジェクトには空き家の問い合わせが複数寄せられているという。加藤委員長は「定住者を増やし、次代の町を担う人材を育てたい」と話した。

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