絶滅危惧種を含む多様な動植物が暮らす中池見湿地(福井県敦賀市樫曲)の来訪者が14日、20万人を突破した。湿地保全を目的としたラムサール条約の登録後3年で、訪問が急増しての大台達成。この日は地元の園児が訪れ、強い日差しの下で、新緑まぶしい初夏の湿地を楽しんだ。
同湿地は2000年5月、大阪ガスが木道や展示施設を整備し一般公開。その後、土地と建物は市に寄付され現在NPO法人が管理している。
来訪者は3カ所ある入り口のセンサーで計測。従来、来訪は年間5千~1万5千人で10万人達成まで10年間かかったが、12年の条約登録後は約3万人と、倍以上の人が県内外から訪れている。
節目の訪問者となったのは、地元藤ケ丘保育園の園児約30人。ビジターセンターでは、代表して宮松桃花ちゃん(5)に花束や、20万人の記念証が贈られた。ファンファーレとクラッカーの音がなる中、くす玉も割られ、大台達成を祝った。
式典後は早速、初夏の木道を散策。湿地は今、水辺で青紫のカキツバタが群生しヨシもぐんぐん成長。原っぱを隠れ家とする小鳥のコヨシキリも「ギョッギョッ」と縄張りを主張する、にぎやかな季節。園児は木道から身を乗り出すように観察し「虫がいる」などと歓声を上げていた。
湿地はこれから、ピンク色のかわいらしいノアザミにアゲハチョウが群れ、来月にはササユリといった花々や、チョウトンボなども顔を出す。
影響が懸念されていた北陸新幹線金沢―敦賀間のルート問題も、湿地に影響が少ないよう変更が決まった。湿地やセンターを含む「中池見人と自然のふれあいの里」館長の杉本博文さんは「四季折々異なる魅力を、今後もアピールしていきたい」と話していた。