昭和20~30年代の福井の街並みを紹介する「写真と地図で見る戦後福井の発展」が福井市立郷土歴史博物館で開かれている。当時の写真集や地図、観光パンフレットなど計13点を展示。福井空襲、福井地震で大きな被害を受けた後、まちづくりや観光に力を注ぎ、まちが活気を取り戻していく時代の様子を感じ取ることができる。6月14日まで。
1950年代ごろに福井駅ビルで販売されていた「福井観光絵はがき」は5点を展示。57年に再建された福井神社や、63年に撤去されたロータリーが写る大名町交差点のはがきが並び、発展する市街地を観光客にアピールする内容になっている。
63年まで嶺北北部を中心に営業していたバス会社が作成した観光パンフレットでは、永平寺や東尋坊、丸岡城の名所などを紹介。「日本一モダン有畜農場」と表現した加戸有畜農場(現在の県畜産試験場)は「米式設計による建物と広大な規模はおとぎの国に遊ぶが如(ごと)き」と書かれるなど、興味深い。
復興を全国に示そうと52年に開かれた福井復興博覧会の写真集も並べた。建設費が7千万円に及んだ繊維パビリオンを紹介するページでは「豪華絢爛(けんらん)たる繊維の桃源郷」などと表現され、「繊維博」とも言われた博覧会の熱気を伝えている。
街並みの変化を紹介するため、同じアングルから撮影した当時と現在の写真2点を対比して並べており、福井神社や養浩館など様変わりした街の風景が確認できる。
空襲、震災で相次いで自宅が被災したという加藤昌恭さん(84)=福井市勝見2丁目=は「自宅には写真も何も残っていない。貴重な資料を見ることができ、当時を思い出した」と感慨深げに話していた。