福井市の県立美術館で開かれている「大永平寺展 禅の至宝、今ここに」(福井新聞社共催)で17日、ギャラリートークが行われた。同美術館の戸田浩之・主任学芸員らが来場者と一緒に約100点の名宝が並ぶ会場を回り、「大本山永平寺は現代の大学のような知の拠点で、さまざまな人や宝物が集まってきた」と解説した。
曹洞宗の開祖、道元禅師直筆の国宝「普勧坐禅儀(ふかんざぜんぎ)」(18日まで公開)は、同展の目玉の一つ。宋での修行を終えて帰国した直後に座禅の作法や意義を説いた著作を前に、戸田氏は「決して美しい字ではないが、非常に丹精に書かれていて心を打たれる。座禅に対する真摯(しんし)な考え方が伝わる」と述べた。
歴代禅師の肖像画(頂相(ちんそう))のコーナーでは、質素だったけさが徐々に華やかに描かれるようになったと説明。「気に入らないと絵師を変えて描き直し、美化された」と、当時の制作の様子を紹介した。
普勧坐禅儀に最も興味があったという福井市の梶川勝子さん(71)は「字の鋭さを感じた。解説を聞きながら回ると、一つ一つの宝物の背景や価値がよく分かった」と話していた。
大永平寺展は11月8日まで(19、26日休館)。31日午前11時からもギャラリートークがある。問い合わせは同美術館=電話0776(25)0452。