南砺市相倉(平)、菅沼(上平)両合掌造り集落の世界遺産登録20周年記念フォーラム「われらがつなぐ合掌文化」が24日、同市下梨(平)の平若者センター春光荘であり、両集落の住民や学識経験者らが保存と活用の在り方をパネル討論した。地域住民ら約200人が訪れ、両集落だけでなく五箇山全体としての価値を深く理解し、次代に引き継ぐ大切さを確認し合った。
市五箇山世界遺産マスタープランの策定に携わった西村幸夫・東京大先端科学技術研究センター所長が司会を務め、両集落の青年代表、中島仁司さん(相倉)と荒井重和さん(菅沼)、2年前に福井県から家族で五箇山に移住した浦田謙太郎さん(篭渡(かごど)・平)、大学の研究者、文化庁文化財調査官らが語り合った。
中島さんは最近、移住やUターンが増え、過疎化に悩まされていた相倉に子どもが8人いると報告。今後も持続可能な集落とするにはさらにUターンを増やす取り組みが重要とし、「五箇山全体の観光産業を発展させ、雇用を生むことが必要」と語った。
荒井さんはわずか5世帯の菅沼は茅(かや)場の手入れや茅刈りに中日本高速道路(本社・名古屋市)社員など都市住民の協力を得ていることを発表。「合掌造りを維持するには茅場がある山林など周辺環境の保全も欠かせないことが認知されてきている」と話した。
浦田さんは「五箇山は教育力が高い。子育てを地域全体でしてくれる」と住民の温かさに感謝し、自身は県西部森林組合に勤め、茅刈りなどに従事していることも紹介した。西村センター長は記念講演で、「五箇山全体が持つ価値を地域住民が深く理解し、魅力ある物語として発信することが大切」と話した。
上平小6年生15人が未来への継承に向け意見発表し、来場者が大きな拍手を送った。