高見順の自筆原稿や書簡、衣類など約200点が並ぶ特別展=31日、福井県ふるさと文学館

高見順の自筆原稿や書簡、衣類など約200点が並ぶ特別展=31日、福井県ふるさと文学館

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「最後の文士」高見順の足跡紹介 福井県ふるさと文学館特別展

福井新聞(2015年11月1日)

 福井県坂井市三国町生まれで小説家、詩人の高見順(1907~65)の没後50年にちなんだ特別展「昭和から未来へのメッセージ」が31日、福井県ふるさと文学館(福井市)で始まった。自筆原稿や書簡、スケッチブック、衣服など貴重な資料約200点を通し、最後の文士と言われた高見の足跡や、川端康成、太宰治、三島由紀夫ら文人たちとのつながりを紹介している。来年1月17日まで。

 高見は福井県知事の私生児として三国町で生まれ、1歳のころ母と上京。小説や詩、批評、日記など多彩なジャンルの作品を書き、文壇で活躍したが、食道がんとの闘病の末、58歳で亡くなった。

 特別展は東京の日本近代文学館、坂井市のみくに龍翔館の協力を得て、前・後期に分けて開催。著書や筆記用具をはじめ、代表的詩集「死の淵より」の詩稿、自画像や日用品を描いたスケッチブックなど肉筆類を多数展示した。母が縫ったどてら、本人愛用のコートや和服もある。

 治安維持法違反で摘発された際の不起訴処分通知書や戸籍謄本、軍刀のほか、太宰、川端、水上勉、林芙美子らから宛てられた書簡類などは県内初公開。写真パネル、映像・音声など往時をしのばせる資料もあり、訪れた文学ファンはじっくりと鑑賞した。

 特別展の図録に寄稿している就実大(岡山県)の小林敦子准教授は「高見順は文学の一番大切な原点を教えてくれ、読まれるべき存在。時代は違っても引きつけられる魅力があり、素晴らしさを確認してほしい」と話していた。

 期間中、近代文学の流れや名作を紹介する企画展のほか、著名作家のミニチュア人形展も同時開催。12月6日には、現代詩作家の荒川洋治さんが「高見順―著作の風景」と題して記念講演を行う。

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