長編小説「羊と鋼(はがね)の森」で2016年本屋大賞を受賞した福井市在住の作家、宮下奈都(なつ)さんの直筆校正入り原稿などを並べた特集展が16日、福井市の県ふるさと文学館で始まった。
宮下さんの繊細な筆致の背景にある、妥協のない仕事ぶりが感じられる。8月24日まで。
特集展は、本県ゆかりの新人、中堅作家を紹介する「ふくいの文学フレッシュパワー展」と題して開催。宮下さんの自筆校正が入った原稿は、緻密に推敲(すいこう)を重ねた痕跡があり、文章へのこだわりが伝わってくる。「直す作業が好きだ」との本人のコメントが添えられており、過去の自分にとらわれない強さも垣間見える。
このほか、「羊と鋼の森」を執筆するきっかけとなった自宅のピアノの写真なども展示している。
宮下さんのほかには、芥川賞候補に4度選ばれた舞城王太郎さん、イラストレーターの登竜門である「電撃イラスト大賞」2015年受賞者のyukim(ユキム)さんらの作品や直筆メッセージを紹介している。
また、県立図書館では同日、宮下さんの著書15作品を集めたコーナーを特設した。「羊と鋼の森」は同日時点で約80件の貸し出し予約が入っているが、館内閲覧用を1冊置いている。コーナーは5月8日まで。