日本山岳会は5日、日本アルプスを世界に紹介した英国人宣教師ウォルター・ウェストン(1861〜1940年)をたたえるウェストン祭を松本市安曇の上高地で開いた。今年は70回目の節目で、地元小学生らの合唱や、大町市出身でエベレストに日本人として初めて登頂した平林克敏さん(81)=兵庫県川西市=の講演で功績者をしのんだ。
ウェストンのレリーフ(浮き彫りの像)がある梓川右岸の会場一帯はこの日、雲はあったものの、対岸の山の尾根がくっきりと見えた。地元の安曇小学校児童15人は「ウエストンの歌」を歌い、リコーダーで「エーデルワイス」を演奏。集まった観光客や登山者が大きな拍手を送った。
平林さんは講演でウェストンの人柄を紹介。「一緒に山を歩いた通訳者の講演録を読むと、温かい心と鋭い感覚で日本の文化と人を見ていたことが分かる」などと話した。
日本山岳会副会長を務めた平林さんは、海外の山を訪れた経験から「日本には(いわゆる)鎮守の森や古里の山があり、そういう自然が日本文化を育んできたと感じる」と指摘。8月11日に今年初めて迎える国民の祝日「山の日」は、そうした山の役割を考える上で「記念すべき日」と語った。