山川登美子の女子大生時代の資料を確認する矢野沙也香主事=28日、福井県小浜市千種1丁目の山川登美子記念館

山川登美子の女子大生時代の資料を確認する矢野沙也香主事=28日、福井県小浜市千種1丁目の山川登美子記念館

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山川登美子の女子大生時代に焦点 小浜の記念館、写真や短歌展示

福井新聞(2016年6月29日)

 福井県小浜市出身の歌人、山川登美子の女子大生時代にスポットを当てた特別企画展「日本女子大学と登美子」は29日から、同市千種1丁目の山川登美子記念館で開かれている。当時の同大の様子を写した貴重な写真や、詠んだ短歌など計20点を展示。夫との死別後、あまり知られていない約3年間の女子大生生活や思いに迫る。9月26日まで。

 登美子は1879年、現在の同市千種1丁目で生まれた。与謝野鉄幹が創刊した雑誌「明星」などに短歌を発表。1901年に結婚したが、翌年死別した。04年に日本女子大英文科予科に入学したものの07年、呼吸器疾患で自主退学した。

 今回は、女子大生時代に与謝野晶子らと出版した合同歌集「恋衣」の広告を掲載した「明星」を展示している。

 「恋衣」は、与謝野晶子が反戦の詩を載せたことから批判が殺到し、登美子は停学処分を受けた。歌を詠んで罰せられた理不尽さを詠んだ登美子の短歌の短冊も見ることができる。担当する小浜市文化課の矢野沙也香主事は「恋の歌が多い中、感情的な作品は珍しい」と指摘している。

 矢野主事によると、NHKの朝の連続テレビ小説で日本女子大を創設した女性実業家がヒロインとなったことを受け、今回の企画展を思い立ったという。登美子が通っていたころの授業風景やバスケットボールをしている写真は、同大から借り受けた。当時の学生の生き生きしたキャンパスライフが伝わってくる。

 矢野主事は「不遇なことが続いた中で、大学入学は人生の再スタートという希望だったのではないか」と推測する。その上で「大学時代は将来や恋愛など悩む時期で、今も変わらない。親近感を持って、若い人たちに見てほしい」と話している。

 午前9時~午後5時。火曜日休館。大人300円、高校大学生200円。

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