熱狂的な祭りの光景を描いた岩佐又兵衛の作品に見入る生徒ら=22日、福井市の県立美術館

熱狂的な祭りの光景を描いた岩佐又兵衛の作品に見入る生徒ら=22日、福井市の県立美術館

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「奇想の絵師」夢幻世界 県立美術館で岩佐又兵衛展

福井新聞(2016年7月23日)

 安土桃山時代末期から江戸時代初期に活躍した絵師岩佐又兵衛(1578~1650年)の福井移住400年を記念した展覧会が22日、福井市の県立美術館で始まった。独特の観察眼と緻密な技巧から生まれた躍動感あふれる風俗画や色鮮やかな絵巻など40点を紹介し、来場者は「奇想の絵師」の世界にくぎ付けになっていた。8月28日まで。

 戦国武将荒木村重の子に生まれた又兵衛は、一族が滅ぼされる中で命を救われ、京都で成長した。1616年に福井に移り、約20年過ごす間に多くの傑作を残した。

 国の重要文化財「豊国祭礼図屏風(びょうぶ)」は、熱狂する3千人余りの群衆を巧みな構図で克明に描いている。市井の人々の暮らしや心情を主題にした又兵衛の風俗画は、当時としては斬新で、後の浮世絵の源流ともいわれる。今にも動きだしそうな迫力に早速人だかりができていた。8月6日からは今春に国宝指定が決まった「洛中洛外図屏風(舟木本)」もお目見えする。
 
 福井時代の代表作「旧金谷屏風」は、竜や虎、源氏物語、中国の故事など幅広い題材とさまざまな技法が混在。人物の顔立ちや身体の表現にも又兵衛の独自性が凝縮されている。全12図が明治時代末期に散逸、所在が確認されている10図が8月26~28日に散逸後初めて勢ぞろいする。

 展示に見入っていた福井市明倫中3年の吉田彩水さんは「繊細な部分があったり、大胆な線を使ったり、印象的な作品が多い。特に墨の濃淡がきれい」と感心していた。

 8月1、8、17、22日は休館日。一般1200円、大学・高校生800円、小中学生500円。問い合わせは同美術館=電話0776(25)0452。

 また、福井市の県立図書館でも又兵衛や伊藤若冲ら独創的な絵師を特集したパネル展示、関連図書のコーナーを設けている。

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