松本市の松本城で、夜の本丸庭園を無料開放して音楽や茶を楽しむ「月見の宴(えん)」が16日まで開かれている。12日は月が雨雲に隠れて姿を見せなかったが、訪れた市民らは肌寒いほどの風に秋の訪れを感じながら、しっとりとした雰囲気に浸った。
ライトアップされた国宝の天守と月明かりの下で「お月見文化を堪能してほしい」と、市と市教育委員会が例年、十五夜(今年は15日)の前後に企画。市民グループが団子の販売所や茶席を設け、ススキや柿の木をあしらった生け花を飾った。月見櫓(やぐら)では琴や尺八、フルートの演奏もあり、柔らかな音色がスズムシの声と共に響いていた。
米ニューヨーク在住で、東京に実家がある恋人らと5人で訪れた写真家ジャスティン・パサビアさん(30)は、抹茶を味わって「普段のお茶とは違う深い味がした。城の外観や雰囲気が素晴らしかった」と喜んでいた。
無料開放は毎日午後5時半〜8時半。