南砺市福光地域ゆかりの板画家(はんがか)、棟方志功をしのぶ「棟方まつり」が11日、同市福光美術館で始まり、志功の孫で棟方研究家の石井頼子さん(59)=東京=の講演や、田中幹夫市長との対談を通じ、まちづくりへの活用の方策を探った。市長は、棟方ゆかりのスポット巡りの利便性を高めるため、JR福光駅と福光美術館を結ぶ無料のシャトルバスを運行する方針を示した。
石井さんは、1945年4月から6年余りの福光疎開時代について、「地域の人々に支えられ、他の時代には見られない伸び方をした」と評価。その後の代表作につながる作品として、カッパ伝説がある瞞着(だまし)川を題材にした作品などを挙げた。
田中市長は石井さんとの対談で「多くの人が棟方さんの生きざまに引き付けられ、まちづくりにつながっている」と述べ、ゆかりの地がある全国5自治体のサミットを2018年に開きたい考えを示した。
10月から運行する無料シャトルバスには、棟方志功記念館愛染苑や、志功の旧居「鯉雨画斎(りうがさい)」などがある福光地域中心部と、棟方作品を集めた福光美術館の回遊性を高める狙いを込めた。
「棟方まつり」は、南砺市棟方志功まちづくり連絡協議会(水口秀治会長)が初めて開催した。志功の命日となる13日は愛染忌法要や、ゆかりの地を訪ねる「徑道(けいどう)めぐり」がある。北日本新聞社後援。