国指定重要文化財の建造物がある福井県敦賀市原の西福寺では、第2期修復工事に向け、市民有志らによる同寺文化財事業奉賛会が発足し22日、第1回会議が開かれる。阿弥陀堂などを整備した第1期工事完了から約10年。第2期は傷みが激しい御影(みえい)堂を中心に修復する計画で、奉賛会は工事費に充てる1億円を目標に浄財を募る。
市によると、全体では数億円の工事費が見込まれている。西福寺が1、2年かけ詳細な実施設計を行い、正確な工事費を算出、国や県などに申請する。北陸新幹線敦賀開業の22年の修復完了を目標にしている。
「平成の大修復」といわれた第1期工事は2001年7月に事業着手。約3億9700万円をかけ阿弥陀(あみだ)堂や四修(ししゅう)廊下、庫裏(くり)、書院と書院庭園を修復し、06年に完了した。
御影堂は第1期工事で行われた調査により価値が認められ、08年に国指定重要文化財になった。ただ、雨水が浸入し木材が腐ってきているため、屋根が少しずつ沈んでいるという。01年に足場を組み屋根を支えている状態で、修復が急がれることから、奉賛会発足など第2期の工事着手に向けて動きだした。
工事では御影堂の修復を優先し、その後、市指定文化財の玄関、念仏堂、鐘楼(しょうろう)、総門、華頂(かちょう)門の改修を計画している。
奉賛会は約50人で組織し、企業を中心とした訪問、イベントなどを行い浄財を募る。会員の増加も目指している。
第1回会議は午後2時から、同寺で行う。事業計画や予算、規約などの説明を行う。広く市民への出席を呼び掛けている。
■西福寺(さいふくじ) 1368年、良如上人によって建立されたと伝わる。約4600平方メートルの書院庭園は江戸中期の築造とされ国の名勝、阿弥陀堂や御影堂、書院、四修(ししゅう)廊下は国の重要文化財に指定されている。阿弥陀如来像や観経変相曼荼羅(まんだら)図など、貴重な文化財も数多く残されており、北陸の名刹(めいさつ)としても名高い。