福井県若狭出身の明治期の禅僧らについて紹介する「若狭の禅~一滴文庫の基となった禅僧の教え~」が、おおい町成海の複合商業施設「SEE SEA PARK(シーシーパーク)」で開かれている。禅僧と同町出身の直木賞作家、故水上勉さんの関係などをパネル約20点で紹介している。7月9日まで。
若州一滴文庫(同町岡田)の企画展。
「一滴文庫」の名称は水上さんがつけた。水上さんは幼少期に瑞春院(京都市)で修行。見聞きした禅師の逸話を作品として残している。一滴文庫は禅師たちを顕彰しようと設立した。パネルではこういった経緯や、おおい町大島出身で臨済宗の老師・儀山善来(1802~78年)の「一滴の水さえ粗末にするな」という教えから着想を得て、子どもたちに「一滴の水の中にも命がある」と気付いてもらえるよう命名したことが解説されている。
夏目漱石と若狭出身の禅僧との関係を記したパネルでは、漱石が1894年、友人に誘われて円覚寺(神奈川県鎌倉市)を訪れ、高浜町出身の明治の高僧、釈宗演と対面。やりとりを基に「門」を執筆したことを紹介している。このほか、宗演が叔父である同町出身の越渓守謙(えっけいしゅけん)(1806~84年)の下で得度するなど、若狭の禅僧が仏法を受け継いできた系譜が紹介されている。