壁面を彩るマリメッコのテキスタイル

壁面を彩るマリメッコのテキスタイル

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福井市美術館でフィンランド展 生活彩る北欧デザイン

福井新聞(2017年7月26日)

 森と湖の国、フィンランドは1年の半分が雪に覆われる極寒の地。人々は屋内での心豊かな暮らしを大切にし、家にいながら色鮮やかな植物や木のぬくもりが感じられる美しい家具や日用品が生み出された。ロシアからの独立100周年を記念し、世界中で愛される北欧デザインの軌跡と、人々の豊かなライフスタイルを紹介する「フィンランド・デザイン展」が福井市美術館で開かれている。

 フィンランドは、1900年のパリ万博で色鮮やかな伝統工芸品「ルイユ織り」などが数々の賞に輝き、民族的アイデンティティーが高まる中で17年に独立。その後第2次大戦で敗戦し、多額の賠償金を負ったことで、陶磁器や家具産業の再建が進み、現代にマッチした機能的で美しい製品が生み出された。

 展覧会は独立以前の装飾芸術から、独立後の成熟期を経た現在までを六つのコーナーに分け、各時代の主要なデザイナーや彼らを支えた企業に焦点を当てながら紹介。家具や食器、織物、洋服、オブジェ、ポスターなど圧巻の約700点を並べる。

 アラビア、イッタラ社のデザイナーとして活躍したカイ・フランクは50年代、それまで一般的だった装飾を取り払い、積み重ねることができる食器を考案。フィンランド農民の古い文化や工芸品を理想の手本とした機能美は「フィンランドの良心」と呼ばれ、今なお親しまれている。

 壁面をインスタレーションのように彩るのは、女性に人気のマリメッコ社のテキスタイル。スターデザイナーのマイヤ・イソラは、同社のトレードマークとなっているウニッコ(ケシの花)柄など500種類以上を残した。

 一方、男性から熱い視線を集めていたのは、モダニズム建築の巨匠アルヴァ・アアルトのアームチェア。弾力のあるシラカバを用いた合板を曲げる技術を編み出し、シンプルながらも温かみを備えた独特のフォルムをかなえた。

 会場にはエーロ・アールニオの「ボールチェア」やアルテックのスツールに座れる体験コーナーを用意。1階にはアールニオと敦賀市の遊具、教具の製造販売会社ジャクエツが共同開発した子ども向け遊具が展示される。ビンテージも含めた約1千点の食器や雑貨が買える物販コーナーも高い人気を集めている。

 9月3日まで。一般1200円、高校・大学生800円、小中学生300円。月曜休館(8月14日は開館)。福井市美術館=電話0776(33)2990。

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