幕末の福井藩校、明道館(明新館)に焦点を当てた企画展が18日まで、福井市立郷土歴史博物館で開かれている。福井藩主の松平春嶽らが力を入れた教育改革など、同校の歩みを紹介している。
来年の明治維新150年にちなんだ企画。明道館は1855年、約20年間閉鎖されていた学問所を春嶽が藩校として再興した。
福井藩の政治顧問、横井小楠が「学生が政治の役に立つ人材となる学政一致が肝要」と、学校の在り方について述べた問答書や、親子の親愛と君臣の忠義を重視した春嶽の精神が分かる文書などが展示されている。春嶽が将軍跡継ぎ問題で敗れた時の同校内の動揺について、橋本左内が記した書状もある。
明治維新後に明新館と改名。春嶽直筆の「明新館」と書かれた縦約80センチ、横約2・5メートルの額は、金箔(きんぱく)地の華やかさと豪快な筆致が目を引く。春嶽は当時、明治政府の要職を務め多忙を極めていた時期。仕事の合間を見つけて揮毫(きごう)したとされ、教育への関心の高さがうかがえる。
福井藩からニューブランズウィック市に留学した日下部太郎や、米国人教師グリフィスに関する文書も展示している。