越前海岸にアトリエを構え、制作活動に専念した画家の宇佐美圭司さんと、妻で陶芸家の爽子さんの遺作展が21日、福井市問屋町3丁目のE&Cギャラリーで始まった。絵画や陶芸品約20点で夫婦の歩んだ軌跡をたどる。10月15日まで。
宇佐美さん夫婦は1992年、福井の海と空を眺めながら豊かな自然の中で制作活動をしようと、東京から旧越前町にアトリエを移した。2人は大きな窓から雄大な日本海が望める部屋で、励まし合いながら作品作りに没頭。爽子さんはアトリエ内に窯を作り、本格的に陶芸家としての道を歩み始めた。
5年前に夫の圭司さんが病気で亡くなり、後を追うように昨年、妻の爽子さんもこの世を去った。2人の遺作展は今回が初めてで、娘の池上弥々さん=静岡県=と同ギャラリー代表の宮崎光二さんが企画した。
圭司さんの作品は、油彩や水彩など13点。円と人間のシルエットを繰り返し描き、独特の世界観を表現している作品が多い。細い線で海に降る雨の筋や雪を描くなど、アトリエから見える風景も作品に影響している。爽子さんの作品は、越前の土を使った食器やスケッチ画など。宮崎さんは「仲の良かった2人の歩みをぜひ見てほしい」と話している。