福井・鯖江市境の文殊山の開山1300年を記念して、麓にある古刹(こさつ)・楞厳寺(福井市大村町)で、所蔵する仏像や仏画などを紹介する「文殊山特別展」が開かれている。山や寺を開いたとされる泰澄自作と伝わる仏像や不思議な石、山頂から出土した縄文土器など約50点が並ぶ。徳毛祐彦住職(71)は「文殊山の長い歴史を知ってもらえれば」と話している。11月26日まで。
文殊山は標高366メートルで717(養老元)年に泰澄が同寺とともに開いたとされる。泰澄が山中に、自らが彫った文殊菩薩(ぼさつ)を祭ったことから文殊山と呼ばれており、白山などとともに越前五山と称され、白山信仰の拠点となっている。
大文殊と呼ばれる山頂の本堂に安置されていた文殊菩薩像は泰澄自作とされるが、初代から何代か後のものらしく鎌倉時代のものとみられる。今年3月、開山1300年を機に盗難などを防ぐために寺に下ろし、代わりの本尊を新調し安置した。展示会では初披露となる。寺の講堂本尊だったとされる十一面観音菩薩(鎌倉時代)は、運慶作と伝わる。
稚児文殊菩薩像(伝・鎌倉時代)は前田利家が奉納したともいわれる。年代は不明だが高僧や地蔵菩薩の仏像も並ぶ。
このほか、泰澄が山中で発見し本堂に安置したとされる「小紋石」は磁気を帯びた隕石(いんせき)との説もある。寺に寄進された「涅槃(ねはん)図」などの仏画や、山頂などから出土した縄文土器片、山岳寺院跡で発見された奈良・平安時代の須恵器片なども披露している。山頂本堂の笏谷石製の屋根瓦は、福井城や丸岡城などの城郭以外では本堂のみだという。
午前10時から午後5時まで。水曜と3日は休み。