作品展の打ち合わせをする高橋さん(右)

作品展の打ち合わせをする高橋さん(右)

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大けが乗り越え個展 クマに襲われた写真家・高橋さん

北日本新聞(2018年6月29日)

 5日に立山町芦峅寺の立山ケーブルカー美女平駅(977メートル)近くで、クマに襲われた写真家、高橋敬市さん(67)=同町芦峅寺=が、大けがを乗り越え個展「霊気満(み)つ景(けしき)」を開く。開催は危ぶまれたが、けがが回復したことから、29日に富山市中央通りの美術館「ギャルリ・ミレー」で開幕することになった。喜びをかみしめ、28日は同館で準備を進めた。

 高橋さんは高知出身で、約35年にわたり立山を中心とした風景を撮り続けている。5日は美女平周辺の撮影に出掛けていた。山の中には幾度も入ったが、クマとの遭遇は初めてだった。

 林道を通り、美女平駅に戻る途中だった。サルが甲高い声で鳴き、クマの気配は感じなかった。あと10分歩けば駅というとき、生い茂る木々の中、視界が開けた。5メートル先に体長約160センチのクマが見え、目が合った。足元のバランスを崩すと、向かってきたクマに顔を引っかかれた。

 クマは山の中に消えた。高橋さんは必死に助けを求め歩き、明かりがついていた建設事務所に逃げ込んだ。顔には複数の傷を負い、歯も折れた。カメラは血で染まった。「命があったのは不幸中の幸い。まさかクマが出るとは思わなかった」と振り返る。

 今回の個展は、これまでの作品から22点を厳選。4月ごろから作業を始め、終了間際の事故だった。「個展が回復を後押ししてくれたのかも」と話す。

 「自然に対して一方的に向き合っていた。少し踏み込みすぎたのかもしれない。自然の怖さを教えられた」と語る。けがをしたことがいい経験になったとし「山の見方が変わるかもしれない。もう一度初心に戻ったつもりで頑張りたい」と静かに意気込んだ。

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