ワイン生産に取り組む土地を視察する(左から)中山さん、五天さん、谷本さん=南砺市立野ケ原

ワイン生産に取り組む土地を視察する(左から)中山さん、五天さん、谷本さん=南砺市立野ケ原

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南砺でワイナリー計画 休耕地活用、年10万本生産へ

北日本新聞(2018年8月10日)

 南砺市福光、城端両地域にまたがる中山間地の休耕地に、ブドウ畑とワイナリーを整備し、南砺産のワインを生産する計画が進んでいる。市内外の飲料メーカーや酒店の経営者らが新会社を設立。来年5月までに苗木2万5千本を植え、2023年に年間10万本の生産を目指す。一帯はカキなどの栽培が盛んで、新たにブドウを加えて「果樹の郷(さと)」としてアピール。観光客を呼び込む新たな拠点に育て、地域活性化につなげる。

 計画の対象地となっているのは、同市立野ケ原地区一帯。広大な丘陵地で古くから干し柿用のカキやイチゴなどが育てられてきた。しかし、近年は高齢化などで果樹栽培や畑作を続けられなくなった農家が増え、休耕地が目立つ。

 この土地に、かねてからワイナリー設立の構想を抱いていた高岡市清水町の酒店「なかやす酒販」社長の中山安治さん(68)と、南砺市田中(福光)の飲料メーカー「喜八食品」社長の五天外喜雄さん(69)が着目。食農連携推進などに取り組む「まち&むら研究所」代表、谷本亙さん(59)=石川県津幡町=と3人で、昨年11月に事業を担う新会社「トレボー」を設立した。会長に就いた五天さんは「おいしいワインをつくることで、富山の活性化につなげたい」と意気込みを話す。

 立野ケ原地区一帯はワイン生産に適した地質という。複数の地権者と賃借契約を結び、近く計約10ヘクタールの土地を確保する。地権者の一人として計画に協力する同市土生新(福光)の建設会社社長、秀永欣亮さん(56)は「受け継いだ畑が手つかずになっているのは心苦しかった。地域が大いに活気づくことが期待され、喜んでいる人は多い」と話す。

 畑の一部には既にカベルネ・ソーヴィニヨンやシャルドネといった代表品種に加え、高品質なワインを生む「マルスラン」、山ブドウと交配した「富士の夢」など計5種130本を植えた。来年5月までに2万5千本の苗木を植える。日本酒造りに携わった若者2人を醸造家として育成しており、来年は醸造免許を取得後、買い付けたブドウで試験的にワインを生産する方針。20年9月に自社ブドウによる生産開始を目指す。

 果樹の郷としての魅力発信や、農業経験者らの雇用につながる場としての事業展開も思い描く。社長を務める中山さんはシニアソムリエでもあり、長くワインに携わってきた。「恩返しの思いを込め、100年以上続く美しいワイナリーを富山に残したい」と話している。

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