展示準備を進める職員=高岡市万葉歴史館

展示準備を進める職員=高岡市万葉歴史館

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万葉チャンス到来 高岡の歴史館が特別展

北日本新聞(2019年4月3日)

 1日に公表された新元号「令和」の出典となった日本最古の和歌集「万葉集」が脚光を浴びている。万葉集を編さんした歌人・大伴家持ゆかりの高岡市にある市万葉歴史館には全国から問い合わせの電話が続々。同館では2日、急きょ企画した記念特別展を3日から開催するため、職員が休日を返上し、大わらわで準備に当たった。県内の書店は万葉集の特設コーナーを設け、「令和」の文字を早速練習する書道教室も。「令和フィーバー」が万葉の里に広がっている。

 高岡市万葉歴史館(同市伏木一宮)は休館日の2日、職員5人が3日にスタートする記念特別展「『令和』と『万葉集』~家持の父大伴旅人(たびと)と梅花の宴~」の準備に追われた。「休日返上になりますが、万葉をアピールする絶好のチャンスですから」。新谷秀夫学芸課長は、館内を忙しく行き来しながら声を弾ませた。

 同館には新元号発表直後から問い合わせが殺到。この日も来館希望者やマスコミからの電話がひっきりなしに鳴る中、作業を進めた。

 所蔵する「西本願寺本万葉集(複製)」と「寛永版本万葉集」を置き、「令和」の典拠となった万葉集巻五の「梅花の歌」の序文の該当箇所に矢印を付けて展示する。家持の父で序文を書いた大伴旅人が影響を受けたとされる中国の詩文集など関連資料約30点を手際よく並べた。

 さらに知恵を絞り、「令和」の額を持って記念撮影できるコーナーも設置。職員が実際に額を持ち、出来栄えを確かめていた。新谷課長は「万葉集になじみが薄い世代にも親しんでもらえたらうれしい」と意気込んでいた。

 地元住民も「令和フィーバー」を後押しする。同館を支援する「万葉を愛する会」の大黒幸雄会長(90)=同市伏木錦町=は「家持が越中国守として赴任した地の住民として誇りに思う。歴史館の活動をいっそう盛り上げていきたい」と力を込める。

 一躍スポットライトを浴びた「万葉」への期待は、地元で日増しに高まっている。

 高岡、射水両市を結ぶ路面電車・万葉線を運行する万葉線株式会社(同市荻生)は、改元を記念したイベントを検討中。水上哲専務は「車両や停留場などの施設・設備を使った企画や、記念切符などが考えられる」と言う。同館に近い雨晴温泉磯はなび(同市太田)の利光貴則営業部長も「『令和』にちなんだプランなどを考えたい」と話していた。

■「古典に関心持って」 県内書店 特設コーナー
 県内の書店も万葉集に注目し、特設コーナーを設けている。文苑堂書店福田本店(高岡市福田)は、1日午後1時ごろにコーナーを設置。「令和」の典拠になった一文が収録された書籍はすぐ売り切れたという。次回の入荷は13日以降の予定で、担当者は「古典に関心を持つきっかけとなってほしい」と期待していた。

 BOOKSなかだ掛尾本店(富山市掛尾町)も万葉集の現代語訳や解説書などを並べた売り場を設けた。高志の国文学館館長の中西進氏が監修した本も取り扱っており、50~60代の男性を中心に数人が購入したという。問い合わせの電話も増えており、斉藤兼子(ともこ)店長は「関連本を50冊ほど発注した」と話していた。

■江戸期の希少本 「古萬葉集」展示
 氷見市加納のプラファショッピングセンターに入居する古書店「加能屋書店」に2日、江戸期の「古萬葉集」全20巻が展示された。

 木版刷りの希少本で、新元号「令和」の典拠となった部分が開かれ、訪れた人の関心を集めている。展示は5月12日まで。

 享和3(1803)年に土佐藩で刷られた。2006年3月に98歳で亡くなった同市十二町の日宮(ひのみや)神社宮司で郷土史家、吉川正文さんの蔵書7千冊に含まれていた。

 店内には万葉集コーナーが特設され、新元号決定を報じた北日本新聞号外も張り出されている。

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