小川を流れる杯が自分の前を通り過ぎるまでに歌を詠む宮中行事を再現した「ふちゅう曲水(きょくすい)の宴(えん)」が14日、富山市婦中町長沢の各願寺で開かれた。雨のため本堂の中央を水路に見立てて、地元の児童や生徒、住民らが平安時代の衣装で出演。今年の歌題「和」にちなんだ短歌が朗詠され、平安のみやびがよみがえった。
曲水の宴は平安貴族や江戸時代の富山藩主が同寺で楽しんだとされる。地元の実行委員会(山田政夫委員長)が地域おこしの一環として1989(平成元)年に復活させ、毎年開催している。
開会式で山田委員長が平成とともに歩んできたイベントの歴史を振り返り「平成最後の歌題に選んだ『和』を含む新元号に決まり、曲水の宴が未来へ続くことを確信した。ますます大きく育てていきたい」とあいさつした。
曲水のほとりで開催する予定だったが、雨のため屋内に変更。雅楽が響く中、童子役3人に導かれた7人の歌人役が入場した。7人はそれぞれ友情や家族との絆、心安らぐ出来事、平和への願いを「和」に託して詠み、短冊にしたためた。歌は独特の節回しで朗詠された。
開会に先立ち、2月末まで「和」を歌題に公募した短歌の表彰式、富山藩主が花見に訪れる様子を再現した「入山行列」、地元園児らによるアトラクションがあった。北日本新聞社共催。