富山市八尾町下新町の曳山(ひきやま)保存会(水上良一会長)は、2層構造の曳山で1階部分の四隅を飾る「覆柱(おおいばしら)」と中央部の「太瓶束(たいへいづか)」をそれぞれ改修した。3日に八尾地域で行われる「越中八尾曳山祭」に向け、漆や金具の美しい輝きがよみがえった。住民が1日、組み立て作業に励んだ。
八尾地域中心部の6町内が曳山を受け継ぎ、毎年の祭で一帯を引き回す。下新町の曳山は6町内で最も新しく、1883(明治16)年に造られた。1925(大正14)年に覆柱や太瓶束に飾金具が施されたと伝わる。
覆柱は竹と虎、太瓶束は竹とスズメをあしらった金具が付けられている。亀裂が入るなど傷みの激しかった覆柱は新しいヒノキに取り替え、太瓶束は元の木材を活用。漆を塗り、金箔(きんぱく)を貼り直すなどして輝きを取り戻した金具を付けた。県と市の補助と文化財保護・芸術研究助成財団の助成を受け、地元の職人が中心となって作業を進めた。
水上会長は「次代に引き継ぐために良い状態を保ち続ける必要がある」と修理の意義を強調。今年の祭後には八尾曳山展示館に下新町の曳山が展示されることになっており「祭当日を含めて多くの人に見てもらいたい」と話した。