山車を組み立て終え、記念撮影する住民=富山市岩瀬祇園町

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担い手不足、祇園町歴史に幕 17日から岩瀬曳山車祭

北日本新聞(2019年5月14日)

 17、18の両日に富山市岩瀬地区で行われる「岩瀬曳山車(ひきやま)祭」に参加する13町内のうち、祇園町の山車は今年で幕を閉じる。毎年地元の園児が曳くことで親しまれてきたが、少子高齢化や住民の転出に伴う担い手不足により決断。山車の責任者「山元」を務める作田大志さん(42)は「担い手不足を地区の課題として考えていきたい」と話した。

 300年以上続く岩瀬曳山車祭には、現在13町内が参加している。日中は、華やかな「たてもん」を飾った山車が巡行する「曳き回し」、夜には山車が激しくぶつかり合う「曳き合い」を行う。

 祇園町は昭和後期まで山車を持たなかった。山車がないことで子どもたちが心細くならないようにと、大志さんの父、一郎さん(79)ら当時の青年部員が自らの手で作り、1983年に完成した。

 町内の全ての家の前を通れるようにと、他町の山車に比べて小ぶりな幅約2メートル、高さ約5メートル。夜の「曳き合い」には参加しないが、同町の子どもが町内を曳くほか、岩瀬保育所の園児が曳き回し体験をするなど親しまれてきた。

 祇園町は27世帯52人(先月末時点)。山車完成当時に比べて人口は半減し、65歳以上の高齢者が半数を占めている。山車を曳くには大人約20人が必要とされ、10年前から山車の存続を問う話は出ていた。近年は祭りの担い手をようやく確保する状況が続き、今年での幕引きを決断した。

 「思い出が詰まった山車がなくなるのはさみしいし、次の世代につなげられなかったことはもっと悔しい」と大志さん。作り手の一人である一郎さんは「次世代の負担にならないように新しい道を作っていくためのものだ」となだめ、苦渋の決断を飲んだ。

 担い手の減少は祇園町だけにとどまらない。昨年から、これまで単独で山車を出していた荒木町と新川町が合同で参加。石川哲男同祭実行委員長は「どの町も危機感を持っている。岩瀬の伝統である祭りを維持していくことを地区全体の課題にしていくべきだ」と話す。

 祇園町のたてもんを飾る「判じ絵」は、岩瀬保育所の園児が毎年制作してきた。今年は「未来に向かって出発だ!」のメッセージを込め、北前船に乗った園児39人の似顔絵を描いた。

 祇園町の最後の曳き回しは、17日午前9時半ごろから岩瀬保育所周辺で始まる。

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