福井県小浜市田烏で養殖されている新ブランドサバ「小浜よっぱらいサバ」の本格出荷が5月31日始まった。本年度から民間企業の「田烏水産」が主体となって市から養殖事業を引き継ぎ、年間3万匹の出荷を目指す。販路を広げるため、情報発信にも力を入れたい考えだ。
「鯖復活プロジェクト」と銘打ったサバ養殖事業は、今年で4年目。サバに酒かすを混ぜた餌をやり、生臭さが少なく程よく脂がのった甘みのある味わいが特徴。
これまでは市が市漁協に委託し事業を進めてきたが、同社が1月に設立されたのを受け、市から500万円の補助を受け引き継ぐことになった。昨年度の出荷数は約7500匹。プロジェクトを統括する市の本年度目標は1万5千匹だが、黒字化へ筋道を付けるため同社は3万匹を目標に掲げた。
サバは同市田烏沖合のいけすで養殖されている。若狭湾や近海産で、約3カ月育てられてきた天然種苗は30センチ前後、約300グラムに成長。身の厚みも順調に増しているという。この日は55匹が水揚げされ、その場で生け締めにされ県内外に出荷された。
同社の横山拓也社長(51)は「サバの養殖を知る人は水産関係者ぐらいで、認知度はまだ低い。一般の人にも知ってもらえるよう情報発信していきたい」と話し、近く同社のホームページを公開する予定。養殖以外の事業も模索中で、来年度の黒字化を目指している。出荷は夏場の高水温時を除いて1年中行われる。