県理容生活衛生同業組合小松地区は14日までに、地域のお年寄りを見守る取り組みをスタートさせた。「こまつ382(サンパツ)番」と銘打ち、お年寄りが髪を切らない日でも店に招き入れ、日常生活で何か変わったことがないか確かめる。年配者の深夜徘(はい)徊(かい)や認知症による行方不明などが問題となる中、「高齢者110番の家」として周知し、お年寄りが事故に遭わないよう目を光らせる。
高齢者を見守る取り組みは、組合に加盟する約70店で実施している。店前に「こまつ382番」と記された赤い旗を掲げており、気軽に店に来てもらい、待合スペースで身の回りのことを話してもらう。理容師が高齢者の言動に異変を感じたら、家族や小松署などに伝える。
各店舗ではこれまで、お年寄りから未明に予約の問い合わせがあったり、何度も夜間などに店周辺をうろつく年配者の姿が確認されているという。市内では4月に高齢者の行方不明が2件続き、最近では年配者の側溝への転落事故も各地で相次いだ。
組合は地域の高齢化が進んでいると判断。店に常駐し、地域に顔なじみが多いという理容師の特性を生かして、今年度から組合全体でお年寄りの見守りに取り組むことにした。
組合員の廣田明さん(51)=西町=は「どんなことでも話してほしい」と呼び掛けた。山本登志幸(としゆき)地区部長(46)=木場町=は「より地域に密着し、地元に愛される店を目指したい」と話した。