南アルプス北部の登山道整備や遭難者の救出に尽力した竹沢長衛(ちょうえい)(1889〜1958年)をしのぶ「長衛祭」が29日、伊那市長谷・山梨県南アルプス市境の北沢峠(2032メートル)で2日間の日程で始まった。両市などでつくる実行委員会主催で61回目。初日は約200人が訪れ、夏山シーズンを前に安全を誓った。
実行委員長で県山岳協会会長の唐木真澄さん(75)=伊那市西春近=は「長衛さんのように、山に謙虚に向き合う姿勢を忘れてはいけない」とあいさつ。昨年、山岳遭難が県内で相次いだことから、安全への意識を強調。参列者は長衛の碑の前に献花した。
その後、両市の児童計22人による合唱があり、一帯に歌声が響いた。鹿とイノシシの肉で作る「成敗(せいばい)汁」も振る舞われた。友人2人と参加した滝沢美由紀さん(64)=駒ケ根市=は「雨上がりで緑がとてもきれい。山は登るたびに違う雰囲気で、新しい発見ができる」と笑顔を見せた。
午後には希望者20人が仙水峠(2264メートル)に向かい、時折風雨が強まる中、季節の花を写真に収めながら往復約3時間の道のりを楽しんだ。
30日は甲斐駒ケ岳(2967メートル)への記念登山がある(荒天中止)。