子どもたちを案内する酒井さん(左から3人目)=6月23日、立山・美女平周辺

子どもたちを案内する酒井さん(左から3人目)=6月23日、立山・美女平周辺

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立山ガイドに初の女性 酒井さん(兵庫出身)資格目前

北日本新聞(2019年7月1日)

 約100年の歴史がある立山ガイド協会に今秋にも初の女性ガイドが誕生する。立山町千垣の酒井恵さん(32)は、立山の自然と歴史に魅了され、出身地の兵庫県伊丹市から移住。立山ガイドを名乗るために必要な日本山岳ガイド協会(東京)の認定資格を得る試験を受けている。1日に夏山開きを迎える立山で活躍するという夢を実現させるめどが立ち、「景色がよくない雨の日でも、ガイドのしゃべりで楽しんでもらうことが目標」と、希望を膨らませている。

 趣味のスノーボード仲間から「夏でも滑れる場所がある」と聞き、21歳で初めて立山を訪れた。冬は全国各地のスキー場で住み込みで働き、夏場を中心に立山で過ごす生活を始めた。

 県人初のエベレスト登頂者で立山ガイドの佐伯知彦さん(40)=立山町芦峅寺=と知り合い、「知識が豊富で、一緒に登ると1人のときよりも何倍も面白い」と感じた。立山の自然はもちろん、山岳信仰の歴史にも造詣が深い佐伯さんに憧れ、「自分も人を楽しませられるガイドになりたい」と決意した。

 立山ガイド協会に所属してガイド活動を行うには、県内在住で日本山岳ガイド協会の認定資格を持つことが条件となる。酒井さんは「国内で四季を通じて整備された登山道」で活動できる「登山ガイドステージ2」の取得を目指している。

 1次選考の筆記試験は気象や植物、法律など山の全般的な知識が問われる。

 2次選考は5科目の実技試験。地図やコンパスで目的地に案内したり、ロープで救助したりするなどの実践的な技能を見極める。

 酒井さんはこれまでに実技の1科目を残して合格。最後の「無積雪期ルートガイディング」は、修了することで合格と見なされる免除講習制度を利用する。全てに受かり、8月末の応急手当て講習会に参加すれば資格を取得できる。

 日本山岳ガイド協会によると、登山ガイドステージ2の資格を持ち、同協会にガイド登録している女性は全国に177人いるという。立山ガイド協会の佐伯高男会長は「最近はアウトドアブームもあり、立山ガイドを目指す若者が増えている。女性客から同性のガイドを求める声もあるので頼もしい」と歓迎する。

 酒井さんは現在、アシスタントとして佐伯さんに同行し、「ガイドのいろは」を学んでいる。立山ガイドだけで生計を立てられる人はほとんどいないという厳しい世界だが「それでも、山が好き。仕事はだんだんと増えていけばいい」と、パイオニアとしての意気込みを語る。

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