世界的板画(はんが)家、棟方志功の巡回展「棟方志功の福光時代展 信仰と美の出会い」が27日、南砺市福光美術館で開幕した。疎開先の福光地域で表現の幅を広げた6年8カ月の創作活動を紹介している。9月23日まで。
板画や油絵、書のほか、書簡や菓子の包装紙など計約350点が並ぶ。北陸初展示となる大作「五智菩薩図(ごちぼさつず)」は、ふすまいっぱいに文字や菩薩図が躍動。裏側には光徳寺(南砺市法林寺・福光)に残る「華厳(けごん)松」と同じ描法で描かれた「御松(おんまつ)図」を配する。
「道祖土頌(さやどしょう)」と「御立(おんりつ)仏像の柵」は、かんな掛けをしていない板に彫られ、板に残る目が素朴さを感じさせる。画材が満足にそろわない戦中戦後に、板の特性を限りなく引き出そうとした様子がうかがえる。
開会式では田中幹夫市長があいさつ。棟方の孫で棟方研究家の石井頼子さん(東京)が講演した。
会期中はワークショップや紙芝居など多彩な催しを繰り広げる。観覧料は一般800円、大学・高校生500円、中学生以下無料。
問い合わせは同美術館、電話0763(52)7576。北日本新聞社後援。