下伊那郡阿南町新野で14日夜、約500年の歴史があるという「新野の盆踊り」(国重要無形民俗文化財)が始まった。笛や太鼓などの鳴り物を使わないのが特徴で、17日朝までの3晩、午後9時ごろから午前6時ごろまで夜通し続く。帰省して参加する若者たちも交えて、静かな新野高原に盆唄が響いた。
午後9時ごろ、地区の目抜き通りに設けられたやぐらに「音頭取り」が上って盆唄を歌い出すと、住民らは輪になって踊り始めた。徐々に輪は大きくなり、人々は久々に会う友人や家族たちとおしゃべりしながら、浴衣姿でゆったりと踊りを楽しんだ。
新野出身の教員神谷明子さん(37)=上田市=は、中学時代に経験した音頭取りの楽しさが忘れられず、「久しぶりで緊張する」と言いながら約30年ぶりに再挑戦。高齢化で音頭取りは減少傾向だが、「魅力を娘にも伝え、新野の伝統をつなぐ懸け橋になりたい」と笑顔で話していた。