寄贈されることになった松楓殿の松の壁画=米ニューヨーク

寄贈されることになった松楓殿の松の壁画=米ニューヨーク

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高峰の別邸高岡に再現 商工ビルにNYの「松楓殿」移設

北日本新聞(2019年9月4日)

 高岡市出身の化学者、高峰譲吉(1854~1922年)が米ニューヨークに構えた別邸「松楓殿(しょうふうでん)」の壁画と天井画を高岡市が譲り受け、高岡商工ビルに別邸の1室を再現した展示コーナーを設けることになった。壁画20点、天井画42点のほか、家具などのゆかりの品を並べ、日米の交流にも尽力した高峰の功績を伝える。

 松楓殿は1904年、米セントルイスで開かれた万国博覧会に日本のメインパビリオンとして建設された。寝殿造りの建物で、日露戦争により財政難に陥っていた日本政府に代わって高峰が引き取り、ニューヨーク郊外に移設。日米親善の社交場として活用した。

 高峰の没後、米国の資産家らの手に渡り、現在は繊維商社タキヒヨー(名古屋市)の名誉顧問で高峰譲吉博士研究会の副理事長を務める滝富夫氏=ニューヨーク在住=が所有する。

 滝氏は高峰の生誕地である高岡への移設を希望していたものの、老朽化で解体することは難しく、名称の由来となった松と楓の壁画、天井画が寄贈されることになった。大阪出身の洋画家、牧野克次(1864~1942年)の作で、金箔(きんぱく)の上に油彩で描いた。

 商工ビルのロビーに幅9メートル、奥行き8メートル、高さ5メートルのコーナーを設け、壁画と天井画を並べる。既に米国から海路で運ばれており、10月上旬に到着する予定。年度内の開設を目指す。

 開設費用は個人や企業からの寄付金で賄う方針で、市はふるさと納税も活用する。3日に会見した高橋正樹市長と高岡商工会議所の川村人志会頭は「功績を広く知ってもらうきっかけにしたい」と語った。

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