約60年にわたって「だいこん電車」として親しまれた引退車両

約60年にわたって「だいこん電車」として親しまれた引退車両

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「だいこん電車」古参4両引退へ 富山地鉄、親しまれ60年

北日本新聞(2019年9月7日)

■お召し列車や映画"出演"

「だいこん電車」と呼ばれて親しまれる富山地方鉄道の車両のうち、約60年活躍した最古参を含む4両が、老朽化に伴って9月と12月に引退する。白を基調とした「雷鳥カラー」の塗装から、いつしか愛称が付いた。昭和天皇皇后両陛下のお召し列車として使われたり、映画のワンシーンに登場したりと"大役"も務めた。乗務員は引退を惜しみつつ、長年の労をねぎらっている。

 初めて雷鳥カラーが採用された1964年製造の2両が9月末に引退。62年に導入され、後に雷鳥カラーに塗装された2両は12月中旬で役目を終える。これに伴って、だいこん電車は鉄道友の会が選出する「ローレル賞」を80年に受賞した10両と、他の付随車1両が残る。

 引退車両はそれぞれ重要な役割を担ってきた。69年に県内で開かれた全国植樹祭では昭和天皇皇后両陛下を乗せ、岩峅寺-立山間と立山-電鉄富山間を国旗を掲げて運行。改造した車両に両陛下用のソファとテーブルが並べられた。

 富山地鉄が舞台となった映画「RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ」(2011年)では、4車両がそろって登場。主演の三浦友和さんら俳優陣が運転席に座り、駅や車庫に入るシーンが撮影された。

 県内各線を共に駆け巡った乗務員らは、引退車両との思い出を懐かしむ。同社鉄軌道部営業課の浦田優次長は力強い走りが印象に残っていると言い、「2メートル弱ある積雪もかき分けて進んだ」と振り返る。冷房設備が付いていなかったため、夏場は運転席の窓を開け、扇風機を回していたという。

 同社の歴史を刻んだ"功労者"だけに保存展示を求める声もあったが、廃車処分する予定だ。運賃箱や運転制御装置など、再利用が可能な部品を処分前に取り外し、東急電鉄(東京)から譲渡を受けて12月から導入する新車両で活用する。

 今月15日には、引退車両で全線を走破したり、記念写真を撮影したりできる記念イベントを開く。同社は「多くの乗客やファンに愛してもらい、感謝したい。引退の日まで雄姿を見届けてほしい」としている。

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