根元が釣り針状に曲がったみずみずしい谷田部ねぎ=11月27日、福井県小浜市谷田部

根元が釣り針状に曲がったみずみずしい谷田部ねぎ=11月27日、福井県小浜市谷田部

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伝統野菜「谷田部ねぎ」 出荷始まる 福井県小浜

福井新聞(2019年11月29日)

 福井県小浜市谷田部の伝統野菜「谷田部ねぎ」の出荷が始まっている。根元の白い部分が釣り針状に曲がった独特の形状で、青い部分はみずみずしく味わい深い。生産組合は「今年は全体的にやや細めだが、自慢の甘みは間違いなし」と太鼓判を押している。出荷は来春まで行われる。

 谷田部ねぎは、少なくとも明治初期から栽培されており、現在は地元の14戸でつくる「谷田部ねぎ生産組合」が毎年約3トンを生産している。

 2007年に食の世界遺産と呼ばれるスローフード協会国際本部(イタリア)の「味の箱舟」に認定され、16年には地域の農林水産物や食品をブランドとして保護する農林水産省の「地理的表示保護制度(GI)」に登録されている。

 9月に種をまき、翌年4月と8月に計2回植え替える。8月には斜めに植えることで、土に埋まっていない部分が真っすぐ空に向かって成長する一方、根元は大きく曲がって育つ。この斜め植えで甘さが増して柔らかくなり、特に葉の部分のとろりとしたゼリー状の液体が甘いという。

 出荷は例年より遅れ、11月上旬に始まった。池田良光組合長(62)によると、全体的にネギが細めなのは夏から秋にかけて、例年より涼しくなるのが早かったためとみられる。

 妻の和代さん(60)は「夏場の植え替えは、暑さが厳しく重労働」と苦労を語る。長さ約80センチに育ったネギを1本ずつ丁寧に引き抜き、泥を払い「ネギは太陽さんに向かって伸びる。今年もぐっと根元が曲がった」と自慢げにみせた。

 同区の祭事では、谷田部ねぎとサバのぬたが出されるといい、すき焼きや鍋との相性も抜群。和代さんのお勧めは、キャベツの代わりにネギをたっぷり入れたお好み焼き。「ネギ嫌いで嫁に来たけど、谷田部ねぎは、とろんとした甘みが本当においしく、私でも食べられる」と朗らかに笑った。

 JA若狭の直売所や市内のAコープなどで販売している。県内外から引き合いがあるという。

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