組み立てが完了したスパコン「富岳」=かほく市の富士通ITプロダクツ

組み立てが完了したスパコン「富岳」=かほく市の富士通ITプロダクツ

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スパコン富岳 かほく市の工場から出荷開始

北國新聞(2019年12月3日)

 次世代のスーパーコンピューター「富岳(ふがく)」の出荷が2日、かほく市にある富士通の子会社「富士通ITプロダクツ」で始まった。富岳はかつて計算能力で世界一になった「京(けい)」の後継機で、計約400台の計算機を組み合わせ、京の3倍の消費電力で100倍の処理能力を目指す。順次、理化学研究所計算科学研究センター(神戸市)に納入され、2021年ごろの運用開始を予定する。
 富岳は富士通と理研が共同開発し、富士通ITプロダクツが京に引き続き製造する。高性能の中央演算処理装置(CPU)を15万個以上接続して構成する。富岳は「富士山」の別名で、性能の高さと、多くの分野で使える裾野の広さを表しているという。
 出荷セレモニーに先立ち、富岳を製造する富士通ITプロダクツの生産ラインが報道関係者に公開され、メインボードの組み立てや検査などの工程が披露された。
 同社の加藤真一社長は2年前から量産に向けた準備を進め、ICT(情報通信技術)を活用した生産体制を確立しているとし、「京で培ったノウハウと知見を生かし、高品質な製品を提供する」と述べた。
 セレモニーには、富士通や理研、文部科学省の関係者らが出席。富士通の時田隆仁社長が「防災や医療、創薬などに加え、産業利用にも貢献しうる可能性を秘めている」とあいさつし、谷本正憲知事が「石川で製造されたスパコンで多いに成果を上げてほしい」と期待した。
 加藤社長の合図で、計約400台のうち完成した6台の計算機を積んだトラックが神戸市に向かって出発した。来年6月までに全台を納入し、今年8月に運用を終えた京の跡地で設置、調整が行われる。
 理研は来年1月25日、金沢市の金沢歌劇座で「スーパーコンピューター『富岳』を知る集い」(北國新聞社後援)を開く。富岳の試作機が展示され、開発に関わった研究者らが講演する。

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