桂泉院に残る石仏「延命地蔵大菩薩」(左)などを見て歩いた参加者

桂泉院に残る石仏「延命地蔵大菩薩」(左)などを見て歩いた参加者

長野県 伊那路 アウトドア・レジャー

高遠の石仏に思い重ね 初の歩いて巡る催し

信濃毎日新聞(2020年11月23日)

 伊那市高遠町に点在する石仏を見て回る初の「高遠城下石仏ウオーク」が22日、開かれた。江戸時代を中心に高遠から全国へ出向いた職人「高遠石工(いしく)」の作品を知ってもらおうと、市と信濃毎日新聞社などが主催。参加した県内外の355人は秋晴れの下、緻密に彫り込まれた石仏にそれぞれの心情を重ねながら、巡った。

 高遠城址(じょうし)公園を発着点に開催。参加者は名工守屋貞治(さだじ)(1765~1832年)の代表作「西国三十三所観世音菩薩(ぼさつ)」が残る建福(けんぷく)寺(西高遠)など8カ所のチェックポイントに立ち寄り、参加特典の御朱印帳に押印。石仏や道祖神の前で拝んだり写真を撮ったりし、約7・5キロのコースを3時間ほどで歩いた。

 伊那市のパート女性(54)は、桂泉院(けいせんいん)(東高遠)の参道脇に立つ貞治の作品「延命地蔵大菩薩」に見入った。数年前に亡くなった父親が最も好きだった石仏という。「穏やかな表情で見守るような姿は、互いに攻撃し合う現代に何かを語り掛けているよう。自他に厳しかった父が、ここで何度もカメラを構えた思いに少し近づけた」と話した。

 同公園では信濃毎日新聞社の多目的広報車「なーのちゃん号」が記念新聞を500部発行し、参加者に配布した。

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