富山県は、立山・弥陀ケ原周辺で、快適なサービスを受けながら準備をせずにキャンプを楽しめる「グランピング」施設と、複数のツアーコースの設置を検討している。今春に全線開通50周年を迎える立山黒部アルペンルートの新たな楽しみ方を提案し、若者に人気のアウトドアで入り込み客を増やす狙いがある。2021年度に試験実施して課題などを精査し、早ければ22年度にアルペンルートを運営する立山黒部貫光などの民間企業に事業を引き渡す考えだ。
アルペンルートの年間入り込み客数は、旅行スタイルが団体から個人へ変化したことなどを受け、2011年から100万人を割り込んでいる。県は魅力を高め、観光地としてさらに発展させたい考えだ。
アルペンルートの美女平-室堂間はバスが結んでいる。経由駅の弥陀ケ原や天狗平で降りる人は少なく、ほぼ「直通状態」という。
だが、弥陀ケ原はラムサール湿地条約に登録され、天狗平は高山植物のチングルマが夏期に遊歩道沿いの約1・7キロで白い花を咲かせるなど、山岳の自然を体感できる見どころが多い。天狗平から室堂までは徒歩で約1時間とあって、ツアーコースの設定にはもってこいの環境だ。
この弥陀ケ原や天狗平への入り込み数を増やすため、県は弥陀ケ原ホテル周辺に若者に人気のグランピング施設の設置を検討。グランピングは、グラマラス(魅力的な)とキャンピングを合わせた造語。キャンプ用品や食材が準備されており、利用者は手軽に豪華なキャンプを楽しめる。
県観光振興室によると、21年度にテントや県産食材を提供するグランピングを試験実施するほか、弥陀ケ原周辺の散策ツアー実施も検討。ツアーはガイド付きで複数のコースを設ける方針だ。21年度予算案に2千万円を計上しており、同室は「室堂に着くまでの魅力的なポイントをアピールしたい」としている。