完成した英訳の絵本=白山市役所

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人形浄瑠璃「尾口のでくまわし」を英訳

北國新聞(2021年4月22日)

 白山市国際交流協会は21日までに、白山麓に伝わる国重要無形民俗文化財の人形浄瑠璃「尾口のでくまわし」を英語で紹介する絵本2作を完成させた。昨年7月に製作した「酒呑童子(しゅてんどうじ)」と合わせた全3作を姉妹都市に贈り、市の伝統芸能を海外にアピールする。紙芝居の動画も配信し、コロナ禍で発表機会が減っている文化財を広く紹介する。

 でくまわしは旧尾口村の東二口と深瀬に350年以上前から伝わる。哀愁のこもった「泣き節」の語り口とともに、「でく」と呼ばれる人形を操って演じる。

 市国際交流協会は昨年から絵本作りに取り組んできた。関西学院大講師で人形浄瑠璃への造詣が深いマーティン・ホルマンさん(63)=徳島市在住=が英訳し、東二口文弥人形浄瑠璃保存会と白山市内で絵本の制作に取り組む「リトル・モウ」が協力した。

 今回完成したのは、竜に奪われた宝を海女が自分の体内に隠して取り返す「大(たい)職冠(しょくかん)」と、源義朝の子どもたちが平家討伐を企てる「源氏烏帽子折(げんじえぼしおり)」の2作品。平安・鎌倉期の役職や位、日本独自の風習を丁寧に翻訳し、欧米人にも伝わりやすいようにした。

 動画も2作品分を用意し、それぞれ12分ほどにまとめ、投稿サイト「ユーチューブ」で配信する。紙芝居のほか、市国際交流員のダニエル・ヘリオットさん(29)=英国出身=らが東二口文弥人形浄瑠璃保存会のメンバーにインタビューした内容を盛り込んだ。

 絵本は今後、白山市の姉妹都市である米・コロンビア市などに贈る。市内の小中学校や県内の図書館、留学生が在籍する教育機関などにも配布する。

 東二口では毎年2月に浄瑠璃を披露する祭りを開催しているが、今年は新型コロナで中止となった。市協会は市民にも魅力を知ってもらいたい考えで、ヘリオットさんは「伝統を継承する保存会の強い思いが伝わる動画になった。コロナ後にでくまわしを観賞するきっかけになるとうれしい」と話した。

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