松本に歌舞伎が帰ってきた―。3年ぶり7回目となる「信州・まつもと大歌舞伎」が17日、松本市まつもと市民芸術館で幕を開けた。2008年の初回と同じ「夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)」。義理堅く人情に厚い男を巡る物語を同館総監督串田和美さんが現代劇の手法も交えて演出した。来場した約1200人が、中村勘九郎さんら舞台上の役者たちに熱い拍手を送った。
夏の大阪を舞台に、勘九郎さん演じる主人公・団七が、恩人の息子を助けるため義父を殺してしまう粗筋。団七が義父に向かって刀を振るい、井戸水で血を洗い落とすと、市民有志約10人の「市民キャスト」らが祭り囃子(ばやし)に合わせて激しく踊りながら登場、にぎやかな雰囲気に包まれた。
カーテンコールで勘九郎さんは、東京は新型コロナウイルスの影響で劇場の観客数が制限されているとし「100%の観客を見ることができて本当に感激しています。ありがとうございます」とあいさつ。大きな拍手が湧いた。
市や信濃毎日新聞社でつくる実行委員会が主催。22日まで全7公演を予定している。