高山植物の細密画の展示もある企画展

高山植物の細密画の展示もある企画展

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北アの植物、不思議感じて 大町山岳博物館70周年記念展

信濃毎日新聞(2021年7月17日)

 大町市立大町山岳博物館は17日から、創立70周年記念企画展「北アルプス誕生とそこに息づく高山植物のものがたり」を開く。国内の高山植物は400種類以上とされるが人里から離れているため分かっていないことが多い。北アでの観察や、研究用に同館敷地で行った栽培から見えてきた特徴などを紹介している。

 パネル展示では興味を引きそうな4種類を選び、花、果実、種子、芽生えのほか「ふしぎ発見」の項目を記載。コマクサは、花の断面図を示し、おしべが花びらの内側部分でハート形になっていることを紹介した。学芸員の千葉悟志さん(50)は「『高山植物の女王』と呼ばれる花に似つかわしい、ちょっとロマンチックな感じ」と話す。

 コマクサの種にはアリの餌となるエライオソームという物質が付いていて、同館で種をまくとアリが巣に運ぶ。だが高山帯のコマクサを観察しても、アリが種を運ぶ姿は見られないという。

 昆虫と同じ名前のミヤマクワガタの謎も紹介。おしべの先端にあって花粉を作る「葯(やく)」は開花直後は黄色いが、3時間ほどして葯が裂ける直前はヒスイ色に変わることが多いことが観察で分かった。理由は分かっていない。

 千葉さんは「中高生らが高山植物の不思議を感じて、北アで調査研究するきっかけになればうれしい」と話している。企画展の解説書(千円)では50種類の高山植物について説明している。

 11月28日まで(9月以降は月曜休館)。初日と8月14日は千葉さんらによる展示解説がある。10月には同市出身で1970年にエベレストに登頂した平林克敏さん(兵庫県)の講演会も予定している。

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