チャンカラ機を使って福光麻布を織る木村さん

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「福光麻布」30年ぶり復活 神社の幟修復へ生産

北日本新聞(2021年9月11日)

 一時は生産が途絶え約30年ぶりに復活する「福光麻布(あさぬの)」を使って破損した神社の祭礼幟(のぼり)を修復するプロジェクトが南砺市内で進められている。今月から作業に入り、現在は補修用に使う布地を糸から織り上げている。麻布作りの依頼を受けたCasaつむぐプロジェクト南砺の堀宗夫代表理事(70)は「福光麻布再興を目指してから初の注文。とてもうれしい」と話している。

 布地は南砺市天神町(福光)にあるゲストハウス「絲(いと)」で、復元されたチャンカラ機と呼ばれる織機を使って織られている。麻糸は同市才川七(福光)の農家に残されていた福光産の6巻を譲り受けた。

 機織りは職人の木村高穎(こうえい)さん(39)が担当。古い糸で従来のものよりやや細いため、時間をかけて丁寧に織っている。補修用に幅35センチ、長さ12メートルの布地を約2週間かけて作る予定。できた麻布は破れた部分のあて布用になるという。

 修復する祭礼幟は、同市田下(上平)の少彦名(すくなひこな)社のもので、長さ12メートルあり、1978年に作られた。福光麻布製とみられるが、破れがひどく、応急で補強している箇所もある。依頼した中谷有秀自治会長(66)は「直すなら地元の本物の福光麻布で、ということになった。10月の祭りには幟をぜひ掲げたい」と話している。

 福光麻布の歴史は古く、奈良時代が始まりだと言われている。江戸時代には加賀藩の産業として「福光麻布」の名で全国に流通するようになった。

 近年では宮中の御用布として天皇の即位や崩御の儀式にも用いられ、昭和天皇の大喪の礼における装束全てが福光麻布で作られていた。しかし、大喪の礼の布地を最後に途絶えているという。

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