第23回日本こども歌舞伎まつりin小松(北國新聞社特別協力)は4日、小松市の石川県こまつ芸術劇場うららで開幕した。新型コロナウイルス感染拡大の影響で開催は3年ぶり。小松の子供役者13人は、待ちに待った晴れの舞台で「勧進帳」を堂々と熱演した。「歌舞伎のまち」の心意気が示された演目に、約600人の観客は掛け声の代わりに大きな拍手を送った。
まつりはコロナ禍で2020年は中止、21年も開催されなかったが、保護者ら関係者向けの発表会のみが開かれた。3年ぶりに一般観客の前で披露する今回は、多くの子どもたちに出演機会を与えるため、弁慶、富樫、義経の主役級3人を中心に2人1役のダブルキャストで実施した。
子供役者は地元安宅の関を舞台にした「智仁勇」の物語を迫真の演技で表現。弁慶と富樫が息もつかせぬ掛け合いを繰り広げたり、見えを切ったりする場面などで大きな拍手が湧き起こった。長唄・囃子(はやし)方の児童生徒もマスク姿で稽古の成果を披露した。
念願だった弁慶を演じた浅井結希さん(南部中1年)は「夢がかなってうれしい。いい思い出になった」と笑顔を見せた。富樫役の楠野碧泉(あおい)さん(南部中1年)は汗で杯が滑ってしまったと振り返り「不安はあったけど、いい演技をして舞台が終えられた」、義経役の若林明依(あい)さん(芦城中1年)は「緊張したけど、動きもきれいにしっかりできて良かった」とそれぞれ話した。最終日の5日は、浅井さんらが役者に飲み物を渡すなど裏方に回る。
4年ぶりに出演した砺波市出町子供歌舞伎東曳山(ひきやま)会は「絵本太功記十段目 尼ケ崎の段」で観客を引き付け、奈良こども伝統文化協会つぼみ会(奈良市)は舞踊「藤娘」を繰り広げた。特別ゲストの歌舞伎俳優三代目大谷廣太郎さんが「越後獅子」を舞った。
ステージでは宮橋勝栄小松市長、夏野修砺波市長があいさつした。出演団体にちなみ、うらら内には砺波、奈良両市の紹介コーナーが設けられた。
5日は同じプログラムで午後0時半に開演する。まつりの模様は後日、動画投稿サイト「ユーチューブ」で配信される。