サマー・シーズンで上演する「紙風船」を稽古する出演者

サマー・シーズンで上演する「紙風船」を稽古する出演者

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次代の演劇人、利賀から 26日から作品上演

北日本新聞(2022年8月25日)

 南砺市利賀地域を拠点とする劇団SCOTの鈴木忠志主宰を中心に、平田オリザさんら日本の名だたる舞台芸術家が、次世代の演劇人と共同で作品を創造する「桃太郎の会」を設立した。26日に県利賀芸術公園で開幕する演劇の祭典「SCOTサマー・シーズン2022」で、4作品を上演する。

 「桃太郎の会」は文化庁などが行う「日本博」のプロジェクトの一つ。コロナ禍によって都市部での舞台芸術が制限される中、地方の自然豊かな土地で時間や場所に縛られず創作活動することを目指す。発起人である鈴木主宰と、静岡県舞台芸術センターの宮城聰芸術総監督(静岡)、劇団「青年団」の平田オリザ主宰(兵庫)、劇団「鳥の劇場」の中島諒人芸術監督(鳥取)の4人で構成。それぞれが推薦する若手が演出し、各地域で制作した「紙風船」「弱法師」「新ハムレット」「胎内」を利賀で合同上演する。

 結婚1年目の夫婦の会話劇「紙風船」を演出する島貴之さん(47)=金沢市=は「利賀のような大自然の中にいると、人ができること、できないことといった人間の輪郭が見えてくる。演劇は『人間とは何か』を問う側面を含んでおり、自然の中で演劇をやる意義を今回強く感じた」と話す。

 鈴木主宰は「世界的に活躍できる次代の演劇人を利賀から輩出するために、5年後、10年後を見据えて、文化庁と共同で始めた事業。今は富山、静岡、兵庫、鳥取の4地域だが、さらにネットワークを広げる計画もある」と力を込める。

 サマー・シーズンは26日~9月11日に開催。SCOTの「世界の果てからこんにちはI」「エレクトラ」「シンデレラ」の上演や、鈴木主宰のトークも予定する。観劇予約にはSCOT倶楽部の登録が必要。満席となった公演もある。問い合わせは事務局、電話0763(68)2216。

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