福井県福井市自然史博物館で特別展「石が語る福井」(福井新聞社後援)が開かれている。足羽山一帯で採掘される笏谷石をはじめ、鉱物標本や道具、装飾品など約160点を並べ、石と人との長年の歴史を紹介する。同博物館の開館70周年を記念し、開館当初の映像など博物館の歩みをたどるコーナーもある。10月16日まで。
人類が石を使い始めたのは、今から200万年以上前。硬く耐久性があり、燃えたり腐ったりしない石は、人々にとって非常に身近で重要な存在だった。特別展では、福井の大地の特徴から人々による石の利用、県内の鉱山などを解説する。
福井で見られる各時代の岩石や化石の由来、東尋坊の柱状節理をはじめ、福井の石の特徴を標本などを基に紹介。人々による利用では、石皿や石斧(おの)など原始的なものから、水晶や瑪瑙(めのう)の勾玉(まがたま)などの装飾具もある。
福井の石文化では、石臼として使われた小和清水町の花こう岩や浄教寺砥石(といし)と呼ばれ高い評判を得ていた凝灰岩などを展示。4、5世紀に既に利用されていた笏谷石は、江戸時代には北前船で遠くは九州や北海道でも使われた。展示では井戸や石臼などを並べ、構造物から日用品まで広く使われた歴史に触れられる。
「県の石」に選ばれている、美山町の赤谷鉱山で採れた自形自然砒(ひ)「金平糖(こんぺいとう)石」や勝山市北谷で発掘された「フクイラプトル」の化石の複製も並べた。面谷鉱山(大野市)など県内の鉱山についても紹介している。
学芸員は「石という視点から、強度の歴史や自然に関心を持つきっかけにしてもらいたい」と話している。
また、1952年の開館から70周年を記念したコーナーも併設。過去の展示や施設を振り返る20枚余りの写真のほか、第2会場となった福井復興博覧会の当時の映像を放映している。
問い合わせは同館=電話0776(35)2844。